はんだごてリポート

はんだごては1回しか使ったことありません.趣味は鉄道を中心に幅広く.

原監督の増田投手起用を全面的に支持したい

まずNPBは出場選手登録枠がMLBに比べ多い、延長が12回まで、MLBほど日程や移動が過酷でない、ということもあり今まで野手が登板させるシチュエーションはなかった。しかし新型コロナで難しい調整を強いられ、通常のシーズンよりも過密日程をこなすことが求められており、出場選手登録枠が一時的に拡大されているとはいえ選手の負担は大きく、故障者も少なくない。そしてあの状況で勝ちパターンしか残っていなかった巨人は増田をマウンドに送った。

 

f:id:handagote_liner:20200810163806j:plain

2019年5月11日の試合前巨人軍ベンチ 一番左が増田大輝選手

 

巨人OBからの批判が目立つが、一野球ファンとしてこの采配を支持したいと思う。

 

そして何よりきちんと仕事を全うした増田大輝選手に拍手を送りたい。いくら高校時代に投手経験があるとはいえプロ野球の公式戦のマウンドに立ち、打者を抑えるというのは難しいと思うが、ひょうひょうと投げる姿に彼の凄さを感じた。

 

昨日の彼の投球を見て「金払って野手の投球なんて」と言っている人物が野球を理解していないだろうということは自信を持って言える。アメリカではストライクが全然入らない野手もいるし、ストライクが入らないことを嫌って山なりのボールを投げる野手もいる。しかし増田選手は130km/h中盤ながらキレのあるストレートを変化球を織り交ぜつつ自信をもって投げ、阪神の上位打線を抑えて見せた。平常時から緊急登板の練習を行なっていたそうではあるが、本職は野手であり、なかなか練習に時間を割けない中、あれだけのピッチングをやってのけた。これぞ金を取って見せるプロの技である。

 

投手経験者にしかわからない「マウンドは神聖なもの」とかそういったものは最大限尊重するが、はたしてチームが優勝に向かって突き進むことの前にそれがどれだけ尊いのだろうか。

 

原監督がいたずらに、遊びで彼をマウンドに送ったのならそれは批判されて当然と思うが、原監督の真意がそうでないことは火を見るより明らかである。現状セリーグ他5球団の惨状を見るに、最も勝利に向かって貪欲なのは原監督だけとしか思えないほどである。その監督が優勝のためにこの一手を打ったのだ。打順も頭に入れず10回で野手を使い切ってチャンスで投手を打席に立たせたどこかの監督はむしろこの姿勢を見習うべきだ。増田にも当然怪我のリスクがあるが、こう言った事態を見据えて予め調整させていたというから特に問題視することでは無いと思う。

 

阪神の打者に、ファンに失礼だという意見もあるが、阪神の打者が失礼だと思ったのなら打ち崩してマウンドから引きずり下ろせばいいだけだし、ファンとしてはあのままバッティングピッチャー同然の投手をマウンドに立たせることの方がよっぽど失礼と感じる。怪我のリスクを背負わせて勝ちパターンの投手をあの点差で投入するのも、もし自分が巨人ファンだったらいただけないだろう。

 

そもそも調べたらオールスターのイチロー登板にキレてたノムさんが南海監督時代に公式戦で広瀬をマウンドに送ってるではないか。パリーグ不人気時代だからサービスしたんだろうけど、ノムさんが「ファンが喜ぶんなら」って言ってやってるんならもうよくない?って気もする。

 

日本の息苦しさってこういうとこから来てるんじゃないかな。「プライド」「神聖」「聖域」「敬意」「伝統」どれも尊いしこういった文化が日本を日本たらしめて良い効果を発揮したことは間違い無いと思う。これからも大事にするべきだ。しかし悪いことしてない人に強制して明らかに有益性がある改革を阻害するようなものなのかな?

 

特に「巨人軍の伝統に似つかわしくない」と言ってた大物解説者のお二人。「巨人軍の伝統」とやらでソフトバンクに勝てますか?なにがなんでも優勝してやるという原監督の意気込みより優先させるべきことですか?

 

張本勲さんはこの采配に関して肯定的なコメントを残し、最後にこうおっしゃっていました。「最後はファンが判断すること」と。

 

一野球ファンとして、「大賛成だ」と強く主張させていただきます。