はんだごてリポート

はんだごては1回しか使ったことありません.趣味は鉄道を中心に幅広く.

BSフジプライムニュースのヤマザキマリさんの分析に思うこと

つい先ほどBSフジで放送されたプライムニュースに漫画家のヤマザキマリさんが出演されていた。

 

今日の今日までヤマザキマリさんのことは詳しく存じ上げなかったのだが、こうしてブログに書き上げるほどに心を動かされるものがあった。

 

今回のイタリアでのコロナウイルスの件について彼女の解説を聞いて、日本人は認識を改める必要がある。

 

 ヤマザキマリさんは先述の通り漫画家で、代表作にテルマエロマエがある。私はつい2時間前までテルマエロマエは知っていても原作者の方は存じ上げなかったのだが、この方、相当に頭がいい。話す言葉がすべて簡潔でわかりやすく、テンポも早い。イタリアに80年代から住まわれていることもあって文化に精通しているのは当然で、今回のコロナウイルスのイタリアでの爆発的増加の原因の分析も非常に理屈の通った説明をされていて、正直見るつもりではなかったこの番組を2時間観通した。

 

ヤマザキマリさんの聡明さにいろいろと感じるところがあったのは述べた通りだが、それと同時に彼女の分析を聞いたときに非常に心が揺るがされた。

 

今まで私はイタリアでの感染者数増加について「ハグが多い」から、「挨拶で顔を近づける」からぐらいにしか考えていなかったし、もっと言えば危機意識が低いんだからある程度自己責任だと思う部分もあった。しかしこれはイタリア人の気質を全く考えていない薄っぺらい感想でしかなかったとわかった。

 

ヤマザキマリさんによると、「イタリア人は心温かい部分がある」という。具体的には、身近な人が病気になると毎日誰かしらがお見舞いに行き、看病をし、家族全員で見守ってあげることもあるそうだ。しかし今回のウイルスではそうしたことはできず、死んでいく人を見守ることすら許されない。感染者が最も多い州では亡くなった人の棺を置く場所が足りておらず、他の州へと軍隊が運んでいくため棺がどこへ行ったのかすらわからない状況だという。身近な人を思いやる心を大切にしてきた人々が、その心を封印させられているこの現状は、絶望や悲しみといった言葉以上の感情が渦巻いている。さらに、感染拡大の初期段階ではそういったお見舞いや看病が裏目にでていた可能性もあり、神父が家族に代わり危篤者を見舞ったことも要因の一つと考えられている。この背景を知った上で、ある神父が人工呼吸器を若者に譲って亡くなったというニュースを聞くと、やるせない気持ちで胸が痛む。

 

またイタリア人は「とにかくよく喋る」という。番組に同席していた二人のコメンテーター、杉本氏と田中氏も同調していたが、家にいるときは誰かしらが喋っているし、一人のときでも携帯電話で誰かと喋るそうだ。これが飛沫感染の要因となっていると考えられていて、イタリア人もそういう認識を持っているそうだ。ただ、イタリア人としてはそういった振る舞いがウイルスを運ぶ結果となってしまったことをうまく消化しきれていない部分もあるのではないだろうか。

 

日本が今の段階で、医療崩壊に至っていないのはたまたまに過ぎない。番組内でもヤマザキマリさんは「悪い言い方をすれば、コロナウイルスとイタリア人の習慣が結びついてしまった」とおっしゃっていた。イタリア人はイタリア人として生活していただけで、このような惨状を目の当たりにすることとなった。では日本人は日本人として生活している以上になにか手を打てているのだろうか?現状は、たまたま日本人がコロナウイルスに適合しないような文化や習慣を持っていただけなのではないのか?

 

発熱後に旅行にでかける者、感染者が増加するスペインにわざわざ旅行する者。感染者数が増える諸外国に目をとられ「日本はすごい」「日本は平気」とまったくお門違いの感想を抱き、油断する者が一定数に達した時、無慈悲なウイルスが日本にも牙を剥く。